ストレッチャブル電極

液体金属を回路材料に用いた世界初の「ストレッチャブル基板」を用いた生体信号計測について

液体金属を用いた世界初の「ストレッチャブル基板」について

 従来のフレキシブル基板は,曲げには対応できるものの,伸縮性や耐久性に課題があり,繰り返し変形を伴う用途には限界がありました. こうした課題を打破するため,株式会社サトーセン(以下,サトーセン)は,世界初となる液体金属を回路材料に採用した「ストレッチャブル基板」を開発しました.本製品は,高い伸縮性と優れた耐久性を両立し,複雑で自由度の高い形状にも追従可能です.これにより,ウェアラブルデバイスや医療機器をはじめとする次世代電子機器の設計自由度を飛躍的に向上させることが期待されています.

生体信号計測への取り組みについて

 ATR-Promotionsは,2006年に小型無線加速度センサー「WAA001」を発売して以来,ヒトやモノの運動・振動を計測・解析するソリューションを提供してきました.2013年には生体信号計測機器「TS-EMG01」を発売し,低価格かつ高品質に筋電図(EMG)や心電図(ECG)を計測できる製品を展開しています.これらの製品は,様々な研究や製品開発・評価,生産ラインの監視,自社製品への組み込みなど,幅広い用途・分野で活用されています.

 近年,筋電図や心電図を代表とした生体信号計測は,筋活動の大きさや質,効率の評価に加え,人の感情や快適性,満足度を客観的に捉える手法として注目されています.医療・ヘルスケア・スポーツ・製品開発といった様々な分野において,主観評価だけでは捉えにくい人の状態を定量的に把握する重要な指標となっています.

 医療・ヘルスケア分野では,筋活動評価やリハビリテーション効果の測定,ストレスや疲労の可視化などに活用され,予防的な健康管理や個別最適化されたケアの実現にも貢献します.スポーツ分野では,筋疲労やトレーニング負荷の可視化,効率的な筋活動によるパフォーマンス向上や故障予防に役立ちます.

 また製品開発分野では,使用中の無意識な緊張やストレス,ヒヤリハットの発生や,快・不快反応を定量化することで,アンケートでは把握しにくいユーザーの本質的な反応を捉え,ユーザー体験の改善や安全性向上,事故防止にも活用可能です.

 筋電図・心電図計測は,身体機能だけでなく感情や心理状態を含めた「人の状態」を多角的に理解するための基盤技術です.ATR-Promotionsは,生体信号計測を通じて,より信頼性の高い分析と新たな価値創出を支援しています.

右上から時計回りに「疲労やストレスを計測する心拍変動解析」,「上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋電図計測」,「脳卒中患者のリハビリ効果測定(筋活動の質の変化と代償運動の減少)」,「視覚刺激として顔表情DB画像提示中の脳波計測実験風景」

新世代の「ストレッチャブル基板」を使用した生体信号計測について

 ATR-Promotionsは,ストレッチャブル基板を用いた生体信号計測技術について,サトーセンと協同で試作および検証を継続してきました.生体信号計測にストレッチャブル基板を用いる最大の特長は,計測部位に重量のある機器を取り付ける必要がなく,さらに運動の妨げとなる配線の取り回しを大幅に改善できる点にあります.これにより,装着感に優れ,被験者の自然な動きを損なわない生体信号計測が可能となります.

 また,手指や足趾の筋肉,表情筋など,従来の一般的なディスポーサブル電極では貼り付けが困難であった部位にも適用できるため,これまで計測が難しかった筋活動の評価も実現可能となります.

 一方で,従来構造のストレッチャブル基板では,運動に伴う急激な伸縮や形状変化によって断線や性能低下が生じやすいという耐久性の課題がありました.

 この課題に対し,サトーセンが開発した液体金属を回路材料に用いた新世代のストレッチャブル基板では,クラックが発生しても液体金属が自己修復的に働き,回路の導通を維持することで高い耐久性を実現しています.なお,使用している液体金属はガリウム系合金であり,毒性が低く,反応性も高くないことから,人体への使用においても安全性が担保されています.

 また,ストレッチャブル基板は伸縮に伴う抵抗値変化を完全に避けることはできませんが,ATR-Promotionsが生体信号計測用に提供している「AMP-151」は,一般的な筋電図計と比較して非常に高い入力インピーダンスを有しており,抵抗値変化の影響を実質的に受けることなく,安定した計測が可能です.

 現在も開発を継続して進めております.本製品に関してのお問合せに関しては,「お問合せフォーム」からお願い致します.


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